はじめに
書くこと
ビジョンという言葉の意味について整理してみました。
自分自身のビジョンもそうですが、組織(会社)のビジョンを考えることがとても重要であるとあらためて思ったのです。
きっかけは一冊の本を読んだこと。本のタイトルは「ビジョナリーカンパニーZERO」。
良い本に出会えたと思ったと同時に、このタイミングで読めたのは本当にラッキーだと思いました。
個人的な背景
この記事を書いている僕個人の背景を言いますと、転職になります。
会社を探すにあたって、会社のビジョンを企業HPで確認します。
求職者のビジョンと会社のビジョンが食い違っていると、双方とも不幸な結末になります。僕は最近、短期離職をしてしまいました。
働くうえで、会社のビジョンを理解していることは非常に重要であると思ったのです。
あと個人的に思っているのですが、企業のHPを見ると、企業ごとにビジョンの表現が異なっています。
ある会社はValueとして行動指針を書いていたり、VISONとして目標を書いていたり。。。
企業ごとに表現が異なっていても、企業のビジョンをしっかり理解できるように、考え方をまとめたいと思いました。
伝えたいこと
読んでくれた人たちが自分のビジョンをあらためて考えることになったり、会社のビジョンを深く考えるきっかけになれば幸いだと思っています。
前述しましたが、僕は前職を短期離職してしまいました。
僕にとっても会社にとっても不幸なことになったと思います。
短期離職の原因のひとつを、会社のビジョンをしっかり確認せずに入社したことだと思っています。
ですので、この記事でビジョンを考えることの大切さが多くの人に伝わり、不幸な短期離職が減ることをささやかながら願っています。
ビジョンとは
事業者が近い将来に達成すべき姿。戦略および方針管理が目指すよりどころ。
Wikipedia
ビジョンの意味をWikipediaでは上記のように説明されています。
ビジョンをシンプルな言葉で表現すると、「自分がやりたいことの方向性」または「目指す姿」だと思います。
3つに分解する
ビジョナリーカンパニーZEROでは、「コリンズ・ポラス式ビジョンのフレームワーク」として、ビジョンを3つに分けて解説されています。
それぞれについて詳しく見ていきます。
コアバリューと理念
コアバリューと理念はビジョンの出発点だ。
(中略)
コアバリューと理念は、組織を動かす根本原則や信条を体系化したものだ。事業と人生で何が重要か、事業をどのように遂行すべきか、その会社の人間観、世界観、社会における自らの役割、絶対に守らなければならないことなどを示す戒律だ。個人にとっての「人生哲学」にあたるものと考えてもいい。
ビジョナリー・カンパニーZERO
人生哲学とまで書かれているので、その企業(人)の根本的な価値観と言っていいと思います。
“人生哲学“であり”価値観“ですので、”コアバリューと理念”は考えて決定するものではないと思います。
心から湧き上がってくる使命感のようなものが、”コアバリューと理念”だと思います。
人が成長の課程で培った、生きる方向性のようなものです。ときにそれは、自然と身についた習慣のようなものかもしれません。
僕の話で恐縮ですが、このブログを続けていることは、自分の”コアバリューと理念”の現れだと思っています。
やりたくてやっていますし、「他者に自分の考えや情報を共有したい」という価値観からの行動です。
傍から見れば、「反応も無いのによく続けられるね」と言われるものかもしれません(実際に言われたことありますが)。
今どきオウンドメディアでブログを運営するなんて、他人には理解し難い行動かもしれません。でもそれはただ価値観が違うだけのことだと思います。
ブログの執筆が単純に楽しいので、続けています。楽しいと思えるのは、自分の”コアバリューと理念”から沸き起こった行動だからだと思います。
パーパス
(前略)コアバリューと理念から湧き出てくるものだ。パーパスはあなたの会社が存在する根本的理由、会社がそこにある究極の意義だ。
ビジョナリー・カンパニーZERO
“バリュー”や”ミッション”は聞き馴染みのある言葉ですが、”パーパス”はあまり聞き馴染みのない言葉だと思います。
パーパスは、”会社が存在する根本的理由“と表現されています。
“コアバリューと理念”から生み出され、パーパスはより具体化された表現となります。
パーパス(Purpose)には”目的”という意味なのですが、ここで重要なことがひとつあります。
パーパスは実現不可能なものであるということです。
このような言葉が書かれていました。
パーパスのきわめて重要な特徴が、常に実現に向けて努力する目標であるものの、決して完全に実現されるものではないという点だ。
ビジョナリー・カンパニーZERO
前述の”存在意義”という言葉を思い出してみるとよくわかると思います。
実現可能なものにしてしまうと、パーパスが達成されてしまったら存在意義を失うことになります。
ですので、”パーパスは実現不可能な目標”、といったような表現になると思います。
事実上実現不可能なものでありますが、パーパス自体の存在意義は高く、組織のモチベーションに関わってきます。
ここで例をひとつ紹介したいと思います。
人類の向上につながる知識を生み出し、広めていく。
ビジョナリーカンパニーZERO
スタンフォード大学のパーパスです。
自分たち(会社/組織)の存在意義がわかっているからこそ(共有できているからこそ)、そこに所属する人々の結束は強くなります。
ミッション
会社員のエネルギーを集中させるべき、明快で説得力のある全体目標を指す。
ビジョナリー・カンパニーZERO
より具体的になってきました。ミッションは目標です。
組織としてミッションですから、自然と全体目標となってきます。
ここで重要なのが、パーパスと違い実現可能であるということ。そしてもっと重要なことがあります。
「心を揺さぶる力」があること。
あなたのミッションが満たすべきもっとも重要な基準は「心を揺さぶる力」だ。最高のミッションからは本物の情熱が伝わってくる。
ビジョナリー・カンパニーZERO
ここではミッションの4つの類型に分けて、例を見ていきたいと思います。
- 目標
- 共通の敵
- ロールモデル
- 内部変革
目標
世界的な目を持って考え、物を作り、輸出に全力を注いでいく。
ビジョナリー・カンパニーZERO
ソニーの前身、東京通信工業の1952年のミッションだそうです。
このミッションを掲げて、ウォークマンを開発し、ミッションを遂行しました。
目標と言ってしまえば目標ですが、「心を揺さぶる力」を感じます。
(小学生の頃ウォークマン使ってました)
共通の敵
ヤマハを潰す
ビジョナリー・カンパニーZERO
以前のホンダのミッションだそうです。少々荒っぽい言葉ではありますが、心揺さぶられる言葉です。
このミッションを設定してからほどなくして、ホンダはヤマハに勝ったそうです。当時、ヤマハがホンダに勝つと宣言したことを、公式に謝罪までしたそうです。
今でもバイクはホンダがシェアNo.1ですね。
ちなみに僕はホンダのGB350 Sというバイクに乗っています。
ロールモデル
ロールモデルとは、自分の会社が憧れる組織をイメージして設定するミッションのこと。
不動産業界のIBMになる
ビジョナリー・カンパニーZERO
トラメル・クロウのミッションだそう。
トラメル・クロウを知らなくても(自分も知らなかった)、このミッションを読めば不動産業界の会社だろうと容易に想像できると思います。
これも心揺さぶられますね。
内部変革
構造改革を必要としている企業が掲げるミッションの類型。
私たちは小さな会社の敏感さ、リーンな組織、シンプルさ、俊敏さを身につけることを誓う。
ビジョナリー・カンパニーZERO
ゼネラル・エレクトリック社が掲げたミッションだそう。
ゼネラル・エレクトリック社は、世界最大の総合電機メーカーだそうです。
世界最大だからこそ、あえて”小さな会社の〜”という表現をしたのだと思います。
このように、停滞した大企業が内部変革や構造改革を行うときに設定されるものだそうです。
おまけ
補足として、戦略と戦術について簡単に書いておきたいと思います。
ビジョンを立てた上で、どのようにそれを実現するか、といった具体的な作戦の部分です。
以下の図がビジョナリー・カンパニーZEROで紹介されていました。
戦略と戦術は、ビジョンがあってこそということがわかります。
戦略とは
戦略とは会社の現在のミッションを達成するための基本的方法論だ。要するに「私たちはこのようにミッションを遂行しようと考えている」というのが戦略である。
ビジョナリー・カンパニーZERO
戦略は戦術を実行するための準備です。
そのため、戦術を実行するための能力が組織の中にあるのか、見定めることが必要になってきます。
本の中ではこれを”内部監査“と表現していました。内部監査で組織の能力をチェックするわけです。
次に”外部監査“として、環境、市場、競合、トレンドなどをチェックします。
自分たちの組織が参入している(しようとしている)市場の動向をチェックし、それを組織の能力と照らし合わせて、どのような戦術を用いるのがベストなのか評価するわけです。
戦術とは
ビジョンと戦略の遂行という側面に意識を向けること、「結び目を正しく結ぶ」「完璧にする」という姿勢は、偉大な企業を目指すうえで欠かせないものだ。
ビジョナリー・カンパニーZERO
ビジョナリーカンパニーZEROの中で、戦術は”卓越した戦術の遂行”として書かれています。
自分たちが関わるプロダクトに、どれだけこだわりを持つことができるか、という内容です。
言い換えれば、どのようにして社員一人ひとりが自分の任務を最高のパフォーマンスで遂行できるか、ということになると思います。
社員がきちんと任務を遂行するための条件として、以下の5つが挙げられていました。
- やるべきことが明確である。
- 仕事に適したスキルがある。
- 自由とサポートを与えられる。
- 努力を認められる。
- 自分の仕事の重要性を理解する。
詳細は割愛しますが、これらもビジョンありきです。
ビジョンを理解しているからこそ、自分の仕事の重要性を理解でき、やるべきことが明確になり、達成のためにスキルを上げようと努力します。努力が認められれば、さらに結果を出そうと自主性を持って行動するようになります。
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